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トランスクリプトーム解析による分子プロファイリング

(担当:清宮啓之、松浦正明、牛嶋 大、冨田章弘)

細胞内の機能分子は、固有のシグナル・ネットワークを制御し、そのシグナルの下流におけるグローバルな遺伝子発現を支配している。このため、それぞれの機能分子の働きが特異的阻害剤によって抑制されると、その標的分子ないし標的分子経路ごとに固有の遺伝子群の発現が変動することが、多くの研究から明らかにされてきた。

すなわち、逆に、作用標的分子が全く明らかでない化合物については、細胞にその化合物を処理することによって発現が変動する遺伝子群の情報(遺伝子シグネチャー)を取得し、これを既存の各種シグナル分子阻害剤の遺伝子シグネチャーと比較し、その類似性を評価することにより、標的分子経路を推定することができる。

本支援では、網羅的遺伝子発現解析(トランスクリプトーム解析)により、細胞に化合物処理した際の変動遺伝子シグネチャーを取得する。さらに、これを各種データベースの遺伝子シグネチャーと比較する。これらの解析により、化合物の細胞内標的分子経路を推定するための情報を取得する。

【方法および化合物の評価】

まず、解析に用いる化合物の処理条件等を決定する。細胞増殖を抑制する化合物の場合、ヒト結腸がん細胞株HT-29や当該化合物に対して選択的な応答性を示す(と推定される)細胞を6-well plateに播種し、20時間培養後、化合物を添加し、さらに6時間培養する。化合物の処理濃度は、GI50(50%増殖阻害濃度)値の3?10倍で、48時間接触で80%以上増殖阻害する濃度を基本とする。細胞増殖抑制以外の作用を示す化合物の場合、当該作用を発揮するのに必要な濃度も考慮して、化合物の処理細胞や処理濃度等の条件を決定する。

化合物処理した細胞より、RNAを抽出し、Agilent 2100 Bioanalyzerを用い、クオリティチェックする。その後、GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用い、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行う。

得られた発現解析データについては、各種化合物に関する遺伝子シグネチャー・データベースを用いてデータ解析を行い、サンプルの作用機作の推定、あるいは、新規性の評価を行う。

参考文献

  1. Mashima T, Ushijima M, Matsuura M, Tsukahara S, Kunimasa K, Furuno A, Saito S, Kitamura M, Soma-Nagae T, Seimiya H, Dan S, Yamori T, Tomida A.
    “Comprehensive transcriptomic analysis of molecularly targeted drugs in cancer for target pathway evaluation.” Cancer Sci. 106: 909-20 (2015)
  2. Hirashima K, Seimiya H. “Telomeric repeat-containing RNA/G-quadruplex-forming sequences cause genome-wide alteration of gene expression in human cancer cells in vivo.” Nucleic Acids Res. 43: 2022-32 (2015)
  3. Ushijima M, Mashima T, Tomida A, Dan S, Saito S, Furuno A, Tsukahara S, Seimiya H, Yamori T, Matsuura M. “Development of a gene expression database and related analysis programs for evaluation of anticancer compounds.” Cancer Sci. 104: 360-8 (2013)

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